Wearable ring from NY, Ringly comes to Japan

IoTやファッション、あるいはNew Yorkのスタートアップシーンに詳しい方なら、Ringly(リングリー)の名前を聞いたことある方がいるかもしれない。RinglyはNYに拠点を置く、リング(指輪)やブレスレット型のIoTデバイス・ウェアラブルを開発しているベンチャー企業だ。

RinglyのCEOはクリスティーナ氏。2017年7月に来日されるとのことで、pilot boatはNY Silicon Alley Meetupと協力してクリスティーナ氏が登壇するイベントを開催した。

 

Ringly CEO クリスティーナ氏

Christina Mercando d’Avignon, is the founder of smart jewelry startup Ringly. The jewelry connects to the Ringly app where women can customize which phone calls, texts and app alerts filter through to the ring. They select how to be notified — via vibrations or flashing lights emitted from the ring. Women can then stash their phones away and not miss a beat. D’Avignon — whose background is in product development — cofounded the startup in 2013.

 

女性のための”かわいい”ウェアラブルデバイス

Ringlyが開発するのはリングとブレスレット型のウェアラブルデバイスだ。ウェアラブルというとapple watchやFIT PITなどの機能的なデバイスが思い浮かぶが、Ringlyはどちらかというと女性向けに、ファッションとしても楽しめるデザイン性の高いアイテムを開発しているのが特徴。

クリスティーナ氏の左手首についているのがブレスレット。スマホの左横にあるのがリング。

 

スマホの通知が煩わしいと思った経験は誰しもあるだろう。メールやチャットは片っ端から通知が来るものの、自分宛てではなくすぐに確かめなくてよかった、なんて場面もある。また、女性はスマホをカバンに入れており、着信にすぐに気づかないという課題もあるらしい。他のデバイスでもこれらの課題は解決できそうなものだが、他のデバイスは女性には大きすぎたり、ファッション性が高くないというのがクリスティーナ氏の意見。そこで開発したのがRinglyだ。ちなみに価格は125ドル〜165ドル程度。

Ringlyを手に取るとわかるのがその小ささ。普通の時計でも男性ものより女性もののほうが小さいが、そのイメージだ。確かに小さくて、女性にとっても負担にならなそう。デザイン性も抜群だ。ウェアラブルとはその名の通り身につけるもので、つまりファッションアイテムなので、特に女性にとってはオシャレであることは重要なのだ。

機能面は現在はノーティフィケーションが中心だ。電話やメール、slackなどがスマホに届くと、LEDライトやバイブレーションで知らせてくれる。前述した不必要な通知問題も軽減できて、例えばslackの通知は自分あてのものだけに反応させることもできる。ローズゴールドやシルバーなどのカラーバリエーションがいくつかあり、宝石の部分は20種類からえらべて好きな組み合わせを楽しむことができる。

現在はアメリカだけで販売しており、ブルーミングデールズ(アメリカの百貨店)などで購入できる。将来的には日本を含め他国展開をしていきたいとのことだ。ただ、商品さえ手元にあれば日本でも使用することは可能とのこと。

 

Ringlyの価値は体験とソフトウェア

元々クリスティーナ氏は、とあるスタートアップのソフトウェアエンジニアとして人工知能の開発などに取り組んでいたが、その会社がeBayに買収されたそう。そこで仲間を集めてRinglyを立ち上げた。現在は20人ほどの体制で、男女比率は半々。日本だと女性のエンジニアは数が少ないし、女性もののアイテムを扱う男性エンジニアも多くはない印象があるが、クリスティーナ氏が女性ということもあってか、エンジニア集めという意味ではあまり苦労したことがないそう。

 

女性向けのウェアラブルデバイスではRinglyは先行プレイヤーだが、最近ではケイト・スペードやマイケル・コースなどのファッションブランドもウェアラブルを手がけている。日本ではまだまだ普及していない印象があるウェアラブルデバイスだが、多数のプレイヤーがいるNYでは多くの消費者が身につけているようだ。

ウェアラブルはファッションアイテムです。洋服に色んなブランドがあるように、ウェアラブルも色んなブランドが登場してくるのはいいことです。色んなプレイヤーがいることで興味を持ってくれる方々が増えます。Ringlyはブランドとしての価値はもちろん、ユーザーエクスペリエンスやソフトウェアの部分で差別化できていると思っています。(クリスティーナ氏)

 

筆者の知り合いも、今までapple watchには全く興味がなかったが、某ファッションブランドがバンドを出した途端に買っていた。クリスティーナ氏の語るように、機能だけではなくオシャレさやかわいさ、ブランドへのエンゲージメントもウェアラブルを広げるきっかけになるかもしれない。今後はRingly自体が他ブランドとコラボレーションする可能性もあるらしい。

 

ブランディングはSNSから

Ringyのマーケティングについても話を聞いた。キーワードは「写真」「インフルエンサー」「ブランディング」だ。

物理的なものがあるので、RinglyにとってInstagramは有効なSNSです。数万人がフォロワーになってくれており、彼女たちから話を聞いて、Ringlyのブランドの価値観と合うような方々にインフルエンサーになってもらうための研究をしています。このような活動がブランディングにつながっていきます。(クリスティーナ氏)

 

このようなブランディングが功を奏し、RinglyにはRingLeader(リングリーダー)と呼ばれる熱狂的なファンがいる。新しいモデルが出たら買い替えてくれたり、何個もRinglyの商品を買ってくれるそうだ。

PRのときには見せ方を工夫していて、取材目的や媒体に応じてテクノロジーにフォーカスすることもあれば、逆にブランドとして発信して機能面も充実している、とメッセージングしているとのことだった。

ちなみに、マーケティングに限らずだが、ウェアラブルデバイス(IoT)で気になるにはどのようなデータを集めてどういう風に使っているのかだが、プロダクトを出して2年半で、本格的なデータ活動はこれからとのこと。

リングとブレスレットの最新機種を携えて

 

The contents of the interview are also distributed by podcast

冒頭にも書いたとおり、Ringlyについてはイベント(やその事前取材)で聞いたことを中心に記載しています。イベントの音声は以下で公開していますので、ご興味のある方は是非聞いてみて下さい。