世界とフォトグラファーを結びつけて、ひとを幸せに

一生に一度の記念写真を撮影したいと聞いて真っ先に思い浮かぶのはウェディングだろう。いわゆる「前撮り」は、日本では4組に1人程度だが、アジアではほとんどのカップルが前撮りを行うらしい。街を歩いていれば、毎日何組も前撮りをしているカップルに出会う。

今回話を伺ったのはFamarry(ファマリー)CEOの藤井さん。そんな海外の文化に触れて、世界中でフォトグラファーを探し出せるサービス開発に乗り出した。Famarryというサービス、そして開発のきっかけまで聞いてきた。なお、情報は2017年07月時点のものである。

株式会社Famarry CEO 藤井 悠夏

シリア生まれ。中学時代はドバイでインターナショナルスクールに通う。2006年株式会社リクルートに入社。
ゼクシィ営業部で2007年に社内MVPを受賞し、2010年に退職。その後ベトナムに渡り、現地法人にて新規事業の事業責任者として従事。事業譲渡後、日系ブライダル企業のセットアップ支援のため2013年にシンガポール来星。ブライダル関連のコンサルティングや、日本でウェディングフォトの撮影を希望するシンガポール人に日本の提携企業を紹介するサービスを行う。2014年10月Famarry創業。

 

ウェディング特化のフォトグラファーマッチング

Famarry社は現在、トップフォトグラファーのデータベース&予約サービス「AMI(Associaition of Media International、アミ)」を活用し、家族向け出張撮影サービス「emily(エミリィ)」、ウェディング撮影予約サービス「Famarry(ファマリー)」などを運営している。今回はFamarryを中心に紹介したい。

スマホで簡単に写真を撮れるようになったり、インスタグラムが流行していることに代表されるように、見栄えの良い写真を撮ったり見たりする機会は年々増えており、その分、プロのフォトグラファーが撮影する「綺麗な」写真の需要も増加している。最近はよく耳にするようになったマタニティ・フォトだけでなく、ハネムーン先でのウェディング後撮り、水中でフォトウェディングなどを行うカップルもいるそうだ。

また、アジア地域などはセルフィーでの自撮りなど、写真を撮るという行為が文化になっているアジアではほぼすべてのカップルが結婚前にいわゆる「前撮り」をしているらしい(日本は4組中1組程度)。余力があると海外に行って写真撮影することもあるそうだ。

もちろん日本で写真撮影をしたいカップルも多いのだが、言語や文化の問題もあり、外国人の方が日本でフォトグラファーを探し出すのは容易ではない。そんな課題を感じ、藤井氏が始めたのがFamarryだ

 

Famarryはウェディング撮影に特化した、フォトグラファー検索サービス。フォトウェディングを撮影したいユーザはFamarryのサイトにアクセスし、サンプルとして掲載されている写真やプランから、好きなフォトグラファーを選ぶことができる。Famarryに相談することも可能で、どこでいつどのような写真が撮りたいかといったことを伝えると、おすすめのフォトグラファーを紹介してくれる。2017年7月現在、フォトグラファーは約600名おり、そのうち100名は海外にいる。なのでフォトグラファーがいる地域なら、海外でも対応可能だ。

ウェディングとは、もちろん結婚式当日だけではない。前述した前撮りや、旅行先でのフォトウェディングもあるし、水中や崖、夜景など様々なシチュエーションがある。既存の写真館などは1枚いくらという料金体系だが、Famarryは撮影した写真は、一部の目を瞑っているような写真などを除き、全ての写真データをユーザに渡しているそう。

ユーザにとっては、写真を撮ってもらっている間は一連の体験であって、体験全体が価値だと思うんです。一連の写真を見ていると、自撮りや素人では撮ることのできないアングルや表情が見えてきます。そのストーリーを楽しんで欲しいんです。(藤井氏)

 

ちなみに、ユーザが若いこともあってSNS映えする写真や、現代風のテイストが好まれるため、Famarryに登録しているフォトグラファーはお客さんに喜ばれる、感覚が若い方が多いようだ。ウェディングフォトは休日の稼働が高くなるため、平日などフォトグラファーの隙間時間を利用して企業向けの撮影サービスも行っているそう。

 

こうしたいと思ったときに、できる環境を整える

藤井氏がFamarryを作ったきっかけはその出自も大きく関係している。藤井氏は両親の仕事の都合でシリアで生まれたのち、日本で育ち、中学時代はドバイで生活していた。その時に再度訪れたシリアで衝撃を受けたという。

ドバイは裕福な都市でしたが、シリアはストリートチルドレンがいたり…同じ中近東でも貧富の差を肌で感じました。ドバイに住んでいても多くの肉体労働者はインドなどからの出稼ぎ労働者です。自分の環境がとても恵まれていて、考えてもそこに理由はみつからないかもしれない。だからこそ自分の人生に意味づけし、与えられた全てを社会に還元したいと思いました。

 

藤井氏の社会人としてもキャリアは結婚情報誌のゼクシイから始まった。社内MVPなども受賞していたが3年ほどで退職。「これからはアジアだろう」ということでベトナムやシンガポールでも働いた。

ベトナムもアジアも写真熱がすごかったんです。結婚前の前撮りはほとんどのカップルが行なうので、街をあるけば写真を撮っているカップルに出会います。余裕があるカップルは海外に行って撮影をします。当然日本にも行きたいという需要があったのですが、言語的な問題もあるし現地でフォトグラファーを探すのは大変だったんです。これが日本でFamarryを始めるきっかけになりました。

 

他方で、日本のウェディング業界にも課題も感じていた。会場やエージェントを通してでしかカップルには選択肢がない。ほとんどのマージンを会場やエージェントがとってしまうため、カメラマンのコストはなるべく安く抑えられてしまう。いい写真が撮れたり、やる気のあるフォトグラファーの活躍の場は限られてしまう。

日本は豊かな国です。フォトグラファーだって、腕さえあればどこでも戦えるはず。なのに、業界の構造という闇があって十分な稼ぎを得られなかったり、活躍できない人がたくさんいる。こうしたいと思ったときに、できる環境がないのはおかしい。そこを解決したかったんです。

 

Famarry社は、Famarryとフォトグラファーのデータベース&撮影予約サービスAMIを運営しており、2017年7月には家族向け出張サービスのemily(エミリィ)をリリースした。これらを皮切りに、今後はフォトグラファーの空き時間を活用した出張撮影を提供することでプロの撮影をもっと身近にし、グローバルなサービス展開にも取り組んでいきたいという。

 

インタビュー内容はpodcastでも配信しています

podcastでインタビュー内容を配信しています。テキストより情報が詰まっています。Famarryに興味がわいた方は是非聞いてみて下さい。