今日の天気を光で知る。未来を照らすIoT電球「TeNKYU」

今回お話を伺ったのは、TeNKYU。IoT電球を作っているスタートアップです。天気や来客などの情報を電球から受け取ることができます。なぜ電球なのか。天気なのか。作り始めたきっかけからTeNKYUの展望まで伺いました。

インタビュー:2017年08月09日


株式会社TeNKYU 代表取締役 菅 英規

電子部品メーカーに入社し、誘電体フィルタの設計・製造を通じてモノづくりを経験。また、技術営業として台北に駐在し、数々のプロジェクトの立ち上げに関わる。その後、株式会社TeNKYUを創業。世界中の玄関に 通知電球 TeNKYU を設置することを目標に活動中。

 

自宅から高級レストランまで、色で情報を伝える

TeNKYUはアプリを電球にインストールして機能を変える、双方向通信をが可能な電球だ。①オンライン上のデータか、②電球に付いている人感センサからインプットデータを取得し、電球の色やスマホにアウトプットする。つまり、普段は普通の電球だが、特定の条件下で色を変えることができるのだ。

① オンラインの情報

例えば天気予報。「降水確率が50%以上のときだけ、電球の色を青くする」「花粉がたくさんとんでいるときには赤くする」ことができるという。

オンライン上にある情報で、データ取得できるものならあらゆるものをインプットデータにすることができる。もちろん、気温、波の高さ、ゴミ出しの日などを条件にすることも可能だ。

②人感センサ

人感センサが付いている電球というものは珍しくない。トイレや玄関などで人が近づくと点灯する、といった類のものだ。これに通信機能がついているところが、TeNKYUが従来のセンサ付きの電球と異なるところだ。

わかりやすい用途は、見守り・防犯用途だろう。例えば、一人で生活しているお年寄りの家にTeNKYUを設置する。旅行でもないのに反応がなければ緊急事態かもしれない、というわけだ。見かけ上はただの電球なので「見守られている」という感覚も軽減される。

ビジネス的に使われる可能性もある。例えば高級ホテルやレストランの入り口で、コンビニのようにピンポーン、などと鳴ったらかっこ悪い。そこで例えば、来客があったときにスマホやウェアラブルデバイスに通知するといった使い方が考えられる。

 

他サービスとの連携や、個人でも機能開発できるように

TeNKYUの設置は非常に簡単。TeNKYUを入手し、今ある電球を外して付け替えるだけだ。次いで、スマホでTeNKYUとWiFiネットワークをつなぐ。最後に天気のモードを選択すればこれで終わりだ。一度設定してしまえばスマホすらも不要になる。

TeNKYUの販売はこれから。それもあって当初はデフォルトの機能のみを提供するようになるそうだが、当然それではフレキシビリティがない。

将来的には色々な他サービスと連携して、TeNKYUの機能を拡張していきます。また、誰でも簡単にカスタマイズできるようにしたり、誰かが開発した機能を他のユーザが使えるようにするといったことも、もちろん構想しています。(菅氏)

 

アイディアは顧客から出てくる

菅氏から話を伺っていると「騒音で音が聞き取れない環境での使用や、難聴者の方向けに、情報を光の色で伝えたい」など、様々なアイディアが出て来る。確かにTeNKYUには、様々な活用方法が考えられるが、アイディア発掘はどのようにしているのだろうか。

イベントでブース出展などをして来場者とコミュニケーションを取ると、先方から様々なアイディアが出て来るんです。先程紹介した、レストランの来客通知などは完全に想定外なユースケースでした。来場者の反応をみて、TeNKYUの拡張性の高さや需要の高さが確信に変わりました。

 

傘をとりに部屋に戻るのがめんどくさい!

そもそも菅氏はなぜTeNKYUを作ろうとしたのだろうか。

私が住んでいるマンションは構造上、外に出るまで天気がわからなかったんです。エレベーターを降りて玄関に出たら雨が降っており、部屋に傘を取りに戻るのは面倒だし、急いでいる時は傘を取りに戻る時間はない。この面倒を解決したいと思ったのがきっかけでした。

この条件だけなら、他のソリューションもあるように感じる。例えば音声で天気を知らせてくれてもいいのではないだろうか?

まず、音声だと最後まで聞かないと、情報がわからないじゃないですか。時間がかかってしまうんです。その点、光の色なら一瞬で情報が伝わります。また、天気を知るために狭い玄関に、ものを増やすのも嫌でしたし、玄関にコンセントもなかった。電源供給が可能で、すでにあるものと置き換えできないか、と考えたときにあてはまったのが電球だったんです。

 

クラウドファンディングや実証実験を通して販売へ

TeNKYUの開発は一段落し、現在はクラウドファンディングの準備をしているそうだ。これを皮切りに販売を加速させていきたいという。

また、TeNKYUはそれ単独の利用はもとより、不動産や介護など、あらゆる業種とも相性がいい。既に色々声がかかっているようで、実証実験を通してB向けの需要も探っていくとのことだった。

最後に、TeNKYUに参画してほしい方へのメッセージをもらった。

TeNKYUの開発にはマイコンを扱えるエンジニアが必須です。また、これから販売を拡大していくのに営業の方も探しています。TeNKYUに興味を持っていただいた方、是非一緒に「楽しく」働きましょう。

 

The contents of the interview are also distributed by podcast

podcastでインタビュー内容を配信しています。テキストより情報が詰まっています。興味がわいた方は是非こちらも聞いてみて下さい。

AUTHOR
納富 隼平(Notomi Jumpei)
合同会社pilot boat CEO
1987年生まれ。2009年明治大学経営学部卒、2011年早稲田大学大学院会計研究科修了。在学中公認会計士試験合格。大手監査法人を経て、トーマツベンチャーサポート株式会社に参画し、ベンチャー支援に従事。毎週開催ピッチイベントMorning Pitchをはじめ、300超のピッチ・ベンチャーイベントをプロデュース。2017年に独立して合同会社pilot boatを設立し、引き続きベンチャー支援に従事する。現在もBtoCベンチャープレゼンイベント「sprout」、ベンチャーHow to紹介イベント「faces」を主催する。得意分野はFashionTechをはじめとするライフスタイル系BtoCサービス。「pilot boatのブログ」「pilot boat cast」を運営。