美容整形の写真・口コミSNS「トリビュー」は、クリニックへの入口を広げる

美容整形の市場規模は年々拡大している。世界をみると2016年には約1兆円に達しており、2020年には約1兆4500億円になるという試算もある。世界最大規模の美容・アンチエイジング医療学会(IMCAS)によると、2020年にアジアの美容整形市場は世界全体の1/4相当の約3700億円超になる見込みだ。中国では100億円以上を調達する美容整形SNSのスタートアップも登場し、市場の成長性が窺える。

国内の正確なデータは見当たらないものの、プチ整形などの隆盛を考えれば、年々市場が広がっていると考えて間違いないだろう。 とはいえ、美容整形には課題がたくさんある。その最たるものが「事前情報の少なさ」だろう。

美容整形はその行為の特性上、SNSなどに自ら積極的にアップしたりすることは少ない。そのためこれから美容整形を受けようとする人は、少ない情報を頼りに美容整形クリニックを選ばなければならないし、術式や術後の経過などを詳しく知ることも難しい。 そんな美容整形の課題解消に取り組んでいるのが、美容整形の写真口コミSNS「TRIBEAU(トリビュー)」だ。代表取締役の毛氏にお話を伺った。    

株式会社トリビュー
代表取締役
毛 迪(Mou Dei)

中国生まれで5歳から日本育ち。2014年新卒でリクルートに入社し、ゼクシィにて広告営業を行う。ブライダル領域の国内最大手企業を担当し、カップル集客のマーケティング、広告戦略立案や広告制作ディレクションがメインの業務。 2016年にアーキタイプ株式会社に転職し、大企業向け新規事業立案や出資先の支援など行う。 2017年に株式会社トリビューを設立し、美容整形の写真口コミSNS「トリビュー」のプロダクト・ビジネスサイド全般を見ている。

 

どの美容整形クリニックがいいのか検索できる

美容整形とはいっても、その種類は「目だけでも横方向なのか縦方向なのか、二重の幅、下にさげるのかなど、20種類以上ある」(毛氏)と言われるほど多種多様だ。美容整形には大きく美容外科と美容皮膚科とがあり、前者は目を二重にしたり、骨を削ったりといったもので、後者は注射やレーザー、シミ消し、ヒアルロン酸注射といったものだ。しかも美容整形の手法は、時が経つにつれてどんどんと増えている。

「種類がたくさんある」ということは、さまざまなポジティブな可能性がある反面、はじめて美容整形を受ける消費者にとっては「多すぎて判断ができない」という負の側面ももってしまう。美容整形とはある種のコンプレックス商材だし、とくに顔の施術だったらネットにあげるのもためらってしまうだろう。そのためインターネット上にも、美容整形の情報はなかなか表にでてこない。最近ではかなりオープンになってきたとはいえ、リアルでも美容整形をしたと他人にはわざわざ言わないし、それゆえ美容整形するか悩んでいる人にとっては、リアルな情報を聞いたり、身近に相談できる人がいなかったりといった状況に陥ってしまう。

 

そこで登場するのがトリビュー。美容整形の写真・口コミSNSだ。美容整形をした人がビフォー/ アフターを日記のように毎日投稿したり、クリニックの口コミなどを書き込む。ユーザの95%は女性で、「ダウンタイムは何日?」「費用はいくら?」「満足度は?」などの情報を閲覧できる。トリビューは美容整形に興味はあるが手が出せない、という女性の助けになっているのだ。

また写真の投稿という意味ではクリニック側にもメリットがある。美容師に得意な髪型や雰囲気があるように、クリニック・ドクター側にも、得意施術があるのだ。美容整形は一種のアートのような要素もあり、かわいいと思う基準は人によって異なる。ユーザは価値観が似ている先生を選ばなくてはならず、好みのマッチングのためにも写真は重要な要素なのだ。

トリビューにあがっている写真は、一見すると違いがわからないものもあるかもしれません。二重の幅を気にする方は1mm単位で気にしているように、本気で悩んでいる方からすると、全然違うのです。そのため症例写真や仕上がりをみて、好みの先生をみつけるというのは非常に重要です。美容整形はある意味で自己満足。ですが人生をポジティブにするものですので、慎重にクリニックを探していただきたいです。(毛氏、以下同様)

トリビューの現在の収益モデルは、クリニックへの送客手数料が中心となっている。  

 

オフラインイベントで実際に相談するケースも

トリビューは単に写真をアップしたり閲覧するだけでなく、そこからコミュニケーションも発生する。たとえば質問・回答機能では「先週xxの手術をして今こんな状態なんですけど、大丈夫でしょうか?」「私もそんな感じだったので、大丈夫だと思いますよ」といった具合だ。また美容整形を体験したユーザは「xxクリニックのカウンセリングに行ってきたけど、こんな感じでした」といった口コミを投稿することもできる。他にもクリニックとのコミュニケーションのために写真を保存できたり、手術の解説や時間とコストを掲載することで、美容整形に対するユーザの困りごとをワンストップで解決できるようになっている。

トリビューはオフラインイベントも開催。いくらオンラインでやりとりできるといっても、美容整形初体験のユーザにとって、情報がオープンになっていない美容整形にチャレンジするというのは怖いもの。そのためリアルに知り合ったり相談できる場を設けているというわけだ。しかし前述したとおり、美容整形についてオープンになってきたとはいえ、わざわざ「美容整形しました」というほどの文化はまだ日本には根付いていない。美容整形について知りたいユーザのオフラインのニーズはわかるが、美容整形の体験者がこのような場に登場するのはなぜだろうか。

美容整形をすでに体験した方の中にも、最初はやはり情報がなかったりして、疑心暗鬼になりながら美容整形をしたという方はたくさんいます。そういった思いを他の方にはしてほしくない、という気持ちから情報をシェアしてくれている方が多いですね。また美容整形は目の次は鼻、といった形で複数回やる方も多いのです。他の部位のことも知りたいので、新しい情報を知りたい、といってオフラインイベントにくてくださっています。

 

10代から美容整形する女の子も

トリビューユーザの95%は女性で、10−20代が最多のユーザー層。最近はプチ整形の種類が増えたり低価格化したこともあって、若い方に美容整形をする人が増えたり(はじめて美容整形をするのは18〜20歳くらいの方が多いそうだ)複数回実施する方も増えている。 10-20代のユーザといえばデジタルネイティブな世代だ。他の世代に比べれば情報発信に抵抗がない傾向があり、実際にTwitterやInstagramを検索すると、いわゆる「美容整形アカウント」が存在しているのがわかる。「ここにカウンセリングに行ってきた」「こんな様子だった」という内容を発信したり、情報収集しているようだ。このようなユーザはトリビューとの相性は非常にいい。

美容整形をする高校生・大学生が増えている印象です。施術にもよりますが、プチ整形なら10万円以下ですむのでバイト代などでなんとかなりますし、今の高校生のお母さんだと若くて30歳台後半くらい。ご自身もアンチエイジングをしていたり、美容整形が身近になってきた世代でもあることも影響しているようです。

美容整形にかかる時間が短くなってきていることも、美容整形人口を増やしている要因だ。昔は手術しなければいけなかったものが、現在はその必要性がなくなってきている施術も多い。ウィンドウショッピングに似ていて、いい施術があったらやろうかなという感覚で、美容室みたく定期的に行く方もいるそうだ。  

 

起業の理由は、自分も美容整形で困ったから

毛氏も18歳のときに美容整形を経験しているが、当時は美容整形の情報を集めるのは大変だったという。

鼻にヒアルロン酸をうったのですが、「失敗したらどうしよう」とですごく不安でした。はじめての美容整形なのに、情報はないし周りに経験者もいない。仕方がないので2ちゃんねるで10年前までさかのぼって情報探していました。実際行ってみたら5箇所も打たれましたし(笑)。その瞬間は怖かったです。 でも施術自体は5分くらいでさくっと終わったのです。情報収集などの課題はあったけど、美容整形自体の満足度はすごく高かった。事前に情報があればこんな怖い思いしなくてよかったのに、と感じたんです。

いくつかの会社で働いているうちに、TwitterなどのSNSで、美容整形に対してオープンになってくる流れを感じた毛氏。自身の原体験とタイミングが重なり、もとから起業志向だったのもあって、トリビューを起業するに至った。  

 

美容整形に関するあらゆるアイディアを解決できるように

美容整形のSNSとして成長しているトリビューだが、今後はさらにコンテンツを増やしていく計画だ。現在のトリビューのユーザは「ある程度前提知識がある人が、クリニックを絞り込むことに使ってくれている」(毛氏)状態。そのため今後は、美容整形に興味を持ち始めた人に、美容整形の教科書的なコンテンツを届けていくことを計画したり、術後のフォローもできるようなコンテンツも考えているようだ。

美容整形は投資対効果がすごく高い行為なのです。かわいくなったと言われることが増えて、人生が明るくなったり、精神的にポジティブになります。同じ30万円でも、ハイブランドのバッグを買うだけじゃこうはなりませんし、高い化粧水を10年使うより、レーザーをうってしまったほうがいいときだってあるんです。 でも情報がなくて知識がないばかりに、美容整形に怖いイメージをもっている方が多いのも事実です。中には行くまで震えているような子もいます。トリビューを通じて「そんな怖いところではないんだよ」ということを伝えていきたいと思います。

 

 

「インスタ映え」も含めて、ある意味で「見た目」は従来より非常に重要なファクターとなっている。これからは画像だけでなく動画の配信も増える時代ともなれば、その重要性はより高まるだろう。見た目が気になって情報発信ができなくなるくらいなら、ひいては自分らしく過ごせないくらいなら、美容整形の力を借りるのも一手だろう。実際美容整形をしているユーザは「どこにでもいるような、いたって普通の子」がしているケースも多いそうだ。世界的にも美容整形の需要は増えているし、今後日本でもニーズが高まる可能性は十分にある。 とはいっても、顔や体を変えるのは怖いもの。トリビューはそんな女の子たちに勇気を与えるサービスになるだろう。      

会社名:株式会社トリビュー
代表者:代表取締役 毛 迪
所在地:東京
設立日:2017年7月
URL    :https://tribeau.jp/
※情報は記事公開時点のものです。

 

インタビュー内容はpodcastでも配信しています

podcastで取材時のインタビューを配信しています。

AUTHOR
ぺーたろー / 納富 隼平(Notomi Jumpei)
合同会社pilot boat 代表社員CEO
1987年生まれ。明治大学経営学部卒、早稲田大学大学院会計研究科修了。在学中公認会計士試験合格。大手監査法人で会計監査に携わった後、ベンチャー支援会社に参画し、300超のピッチ・イベントをプロデュース。 2017年に独立して合同会社pilot boatを設立し、引き続きベンチャー支援に従事。長文でスタートアップを紹介する自社メディア「pilot boat」、toCベンチャープレゼンイベント「sprout」、その他スタートアップイベントを運営。得意分野はファッション・ビューティ×テクノロジーをはじめとするライフスタイル・カルチャー系toCサービス。各種メディアでスタートアップやイノベーション関連のライター、大企業向けオープンイノベーション・コンサルティングも務める。
Twitter: @jumpei_notomi
PHOTOGRAPH
森田大翔(TAISHO) 写真家/映像作家
【写真】 雑誌やWeb広告など、人物を中心に撮影。イベント撮影や企業様の採用写真(Wantedlyなど)も多く撮影。
【映像】 企業様を対象にしたドキュメンタリー映像やメイキング映像が多く、ドローンを使用した撮影も可能。(CM撮影など)
【受賞歴】 “The new generation digital photo contest 2013” 最優秀賞受賞
 
 

最新情報はLINE@で!

記事配信時に、LINE@でお知らせしています。記事更新の連絡が欲しい方は、LINE@のフォローをお願いします! 友だち追加