webも紙もインテリアも店舗のデザインも全部お願いします-「食」がテーマのfaces-design-#002レポート

 

デザイナーとベンチャー企業を繋ぐfaces-designer-#002。09月17日(土)に第2回が開催されました。今回のテーマは「食」。ベンチャー界隈ではFoodTech(フードテック)と呼ばれたりもしています。簡単にではありますがそのレポートをお送りします。

faces-designer-002登壇者

faces-designer-002登壇者

 

「うちの会社で爆発して欲しい」「デザインを言語化できる人」と一緒に働きたい

 

facesは2部構成。第0部、第1部となっております。第0部は登壇者の皆さんで座談会。ウォームアップ座談会と今名付けました←。しかしこの雑談が面白かったのです。

まず、話の流れで女性比率の話になりました。ちゃんと数えたわけではないですが、平均的なベンチャー企業の女性比率は2〜3割な気がします。しかし、本日登壇いただいた皆さんの会社の女性比率は半分以上で、8割以上という会社もありました。なんでかはわからなかったのですが笑、「食」という分野が関係していそうです。少くともおかん、ペコッター、BAKEはそもそも女性がユーザとして多く、ユーザの方から「御社で働きたい」と連絡を頂くことも多いそうです。ちなみに、トレタの上ノ郷谷さん曰く、男性よりも女性のほうが「きめ細やかさ」「柔らかしさ」の表現が得意なことが多いとのこと。

パネルでは横断的に各社のお話を伺いました。

座談会では横断的に各社のお話を伺いました。

 

ウォームアップ座談会の最後にはどんなデザイナーに来て欲しいか各社に伺いました。

トレタ「トレタはデザインについて話すことを重視している。デザインについてしっかり言語化して、お客様や社内のチームと話せる人と働きたい。」

BAKE「シガラミでぎちぎちで疲れている人に来て欲しい。本当は活躍できるはずなのに今の環境じゃ満足出来ていない人は是非BAKEにきて爆発して欲しい。スイーツの知識は(最初は)なくて大丈夫。」

ペコッター「はらぺこ君が好きで、はらぺこ君を世に出してくれるように頑張ってくれることが大事で、そのためならキツめなレビューも乗り越えられる人に是非来て欲しいです。」

オフィスおかん「デザイナーに限らず、「働く人のライフスタイルを豊かにする」というビジョンに共感してくれる人。デザインという手段を駆使してビジョン達成に貢献してくれる方とお話したい」

 

ペコッターに必要なのは即レスによる感動を生み出すデザイン

 

ペコッターデザイナーの大塚さん

ペコッターデザイナーの大塚さん

座談会が終わった後は各社のプレゼンに。最初に登場したのはペコッターの大塚さん。

ペコッターは新感覚グルメQ&Aアプリ。質問をアプリに投稿したら即レスが来るというアプリです。なんと5分で5件ほどの回答がくるとのこと。「今度の土曜日に渋谷で飲み会をします。焼肉のお店を教えてください」なんて投稿すると色々なお店をはらぺこ君や他のユーザが教えてくれます。

ペコッターUI。

ペコッターのUI。メカペコ君という自動応答は10秒で1回答してくれるそう。これが回答を待っている感覚を減らしています。

現在社内にデザイナーは大塚さん一人。アプリのサービスなのでアプリやはらぺこ君のデザインが中心かと思いきや、他にも色々なデザインをしています。デザインのコンセプトは「ペコッターを『思い出してもらう』こと」。例えばPCに貼ってもらうステッカーやゴミ箱シール、ポケモンGOが流行ってモバイルバッテリーが売れるということでそれ用のシールも作ったとのことです。

とは言っても中心となるのはアプリ内のデザイン。「感動を生む導線をデザインする」を最重要にデザインに取り組んでいるとのことです。即レスアプリを謳っているペコッターでの不安要素はやはりレスポンスが遅れること。逆に言えばそれを取り除くけば感動が生まれます。そために人力での素早いファーストレスポンスや、UIの改善、メカペコ君(人工知能も使った10秒以内の回答システム)の導入等をエンジニアと協力しながら開発しているそうです。

ペコッターの応募はこちらから。直接デザイナーの募集という案内はありませんが、デザイナーは絶賛募集中です。

 

トレタのデザイナーはデザインを言語化して新機能開発も主導

 

続いて登場したのはトレタ。登壇していただいたのはCDOの上ノ郷谷さんです。CDOということで組織としてのデザイナー、という観点からのお話がオーディエンスや他の登壇者の勉強にもなったようです。

トレタの上ノ郷谷さん

トレタの上ノ郷谷さんはCDO(Chief Design Officer)としてデザインを統括。

 

トレタは予約・顧客管理のシステム。通常は飲食店の方々が使用するので見慣れないかもしれませんが、予約するときに使っている仕組みが実はトレタかもしれません。

これまで飲食店の予約は、紙を使って手書きでおこなわれていました。これだと管理に時間がかかったり、人為的ミスが発生したり、お客様情報が共有されなかったりします。トレタではこんな困りごとを解消しています。今まで紙でやっていたことと変わらないことをタブレットでも簡単にできるようにし、しかも所要時間は短くなるプロダクトを開発しています。

トレタのデモの様子

当日はipadを使って、実際にどのように使うのかもデモもしていただきました。

ここからはデザインの話。トレタで重要視しているのは根源的なユーザー理解とのことです。お客様の声を聞くことが非常に重要で、営業チームに同行したり場合によってはデザイナーだけでお客様に会いに行くこともあるそうです。ユーザと直接話をしているからこそ「継続的な改善・新機能提案はデザイナーが主導」(上ノ郷谷さん)し、ビジネス視点が求められるのがトレタのデザイナーとしての特徴とのことです。

また、上ノ郷谷さんが何度も語っていたのは「デザインを言語化する」ことの重要性。トレタはBtoBのサービスなので、toCのサービスに比べると「とりあえず作ってリリースする」ということが難しく、だからこそ社内で何度も何度も揉んでからリリースするこが重要とのことです。Github上にやり取りを記録されたり、レビュー文化が根付いている様子でした。

「(ペーパー)モック」もよく使っているそうです。。下手にちゃんとしたものをモックの段階で作りすぎると「この線が〜この色が〜」とか細かい話になってしまうため、「そもそもデザインの目的はなんなのか」という話に集中するために、わざとペーパーモックを用いてディスカッションすることも多いようです。

トレタの募集はこちらから。

 

当たり前を届けるためにはアプリだけじゃなくて紙も必要「オフィスおかん」

 

オフィスオカン

オフィスおかんを提供する沢木CEO。懇親会ではアプリの説明も

 

続いて登壇したのはおかんの沢木さんです。今回、唯一経営者としての登壇です。

オフィスおかんは「オフィスグリコのお惣菜」の社食サービスです。肉じゃがからハンバーグまで健康的な食事が会社に置かれ、1品100円から購入できるというシンプルなサービスです。しかし、シンプルにするためにデザインの力があらゆるところに散りばめられていました。

オフィスおかんお惣菜メニュー

オフィスおかんのお惣菜メニュー。HPより。

オフィスおかんのユーザは大企業から町の中小企業まで様々。その中にはITなんて全然わからない、なんていう方もいるそうです。そんな方々にもお惣菜を届けるためにはアプリだけでなく紙のパンフレットを作ったり、難しくないUIの設計が大事とのこと。

また、最近では他企業との連携も多いそうです。例えば丸の内ヘルスアップ実証プロジェクト。これは健康経営が企業活動に及ぼす影響を実証するための調査で、健康診断を行ってその診断結果に基づいてオフィスおかんのお惣菜をリコメンドしてくれる、といった取り組みです。

さて、話はデザイナーの採用の話へ。オフィスおかんとして何回も繰り返していたのが「『働く人のライフスタイルを豊かにする』というビジョンにどれだけ共感してくれるかが1番大事」という点でした。そのために手段としてデザインを駆使して欲しい、とのことです。

現在社内の専属デザイナーは1人で、そのデザイナーも産休に入られるとのことです。社内では出産ラッシュで、出産後も働きやすい環境を整えている、ということも沢木社長は強く意識していました。

おかんの募集はこちらから。もちろんデザイナーも絶賛募集しています。

 

お菓子の可能性はこんなものではない、お菓子を進化させるためのデザインを「BAKE」

 

BAKEクリエイティブプランナーの貞清さん

BAKEクリエイティブプランナーの貞清さん

 

本日最後に登壇していただいたのはBAKEのクリエイティブプランナー、貞清さんです。

BAKEは「お菓子のスタートアップ」と言われることもある、チーズタルトやピクトケーキを製造・販売している会社です。BAKE CHEESE TARTだけでも店舗は日本やアジアを中心に既に24店舗もあるとのこと!(店舗数はイベント時点)。タイの国民的スイーツに選ばれたとバズっていたのも記憶に新しいです。

【号外】日本発の商品が、タイの国民的スイーツとしてこんなにも愛されていた…!

貞清さん曰くBAKEは「挑戦が大好きなお菓子屋さん」とのことで、チーズタルト、ピクトケーキ、お菓子のR&D、PBブランド、オウンドメディア…と、一回聞いてもおぼえられない位事業が多岐に渡っており、そのせいもあってか、「全般的に人は足りていませんが、特にweb周りのデザイナーが足りない!」そうです。

 

デザイナーの業務も多岐に渡るそうで、その責任範囲は「全て」だそうです。webはもちろん、店舗のインテリアから紙もの、BI CI やその他商材すべてをデザイナーがみているそうです。例え店舗のデザインでも、お客様にどういう体験をしてもらうかをクリエイティブサイドが考え、パティシエとも連動してその実現に取り組むそうです。

BAKEのインハウスデザイナーはお客様と近いというのもポイントとのこと。「デザイン事務所として外注される立場だとどうしてもお客さんとの距離が遠くなってしまいます。BAKEのインハウスのデザイナーなら店舗で研修もするし、お店で気づいたことをすぐにデザインに反映することができます。」(貞清さん)

 

次回のfaces-designer-は…

 

ファッション(衣)、食と来ましたからね。次は11月の末「女子向けサービス」でやろうかと思っています←
が、記事執筆時点でまだ何にも決まっていません笑。どなたか手伝ってくださる方がいれば絶賛募集中です。特により多くのデザイナーの方々にfacesを知ってもらえるようにお知恵を貸してくださいませ!

懇親会の様子

最後の懇親会も盛り上がっていました!