今回のゲストはライフスタイルデザインの森さん。オンラインでオーダーメイドのスーツやシャツを作ってくれるサービス「LaFabric」を運営しています。
現在は男性用のスーツなどを作っているのですが、もしかしたら花粉症のデータをとる未来もあるかもしれないそうです。どういうことでしょうか?
オーダーメイドをwebにすることは、世のためになる
僕は首が細くて腕が長いんです。既製品だとほとんどサイズがないんですよね。(森さん)
株式会社ライフスタイルデザインの森社長は、LaFabricをつくったきっかけを聞いたらこう答えてくれました。筆者は太ももが大きく、ウエストとのバランスが悪くて、既製品だと合わないことが多いんです。皆さんもこんな悩みがあるんじゃないでしょうか。
あるとき、ふとしたきっかけで友達とオーダーメイドで洋服を作ったんです。自分のために洋服を作るという体験はとても新鮮でしたし、なによりできあがった服は自分にフィットしていて着やすい。素晴らしい体験でした。友達に薦めても反応がいい。この体験がweb体験できるということは、世に必要だと思いました。
インターネットの良さはみんなが手軽に、色々なものを試せること。街中のスーツ屋さんだと敷居が高いことも、インターネットなら敷居を下げることができます。さて、LaFabricはどんなサービスなんでしょうか。
株式会社ライフスタイルデザイン 代表取締役社長 CEO 森 雄一郎
1986年岡山県出身。香川大学卒業。大学卒業後、ファッションプロデュース会社にて国内外有名ブランドや東京ガールズコレクションなどのプロデュース業に従事。その後ベンチャー業界へ転身し、グローバルエージェンツにてデザイナーズシェア住居「ソーシャルアパートメント」のマーケティング・セールスに従事。2012年4月に株式会社ライフスタイルデザインを創業するも、7つの事業を立ち上げるもいずれも失敗し、倒産の危機を経験する。同社を一度休眠させ、2013年2月にフリマアプリ「メルカリ」の立ち上げに社会人インターンとして参画し山田進太郎氏の元で事業開発の経験を積む。メルカリを離れ、ライフスタイルデザインに戻り2014年2月にオンライン発のカスタムオーダーファッションレーベル「LaFabric」をリリース。2017年7月現在、サービス訪問者は月間120万人まで成長。
webから買えるオーダーメイド
LaFabricはオンラインでオーダーメイドの洋服が作れるサービス。スーツ・ジャケット・スラックス・シャツ・チノパン・ジーンズなどを、自分にぴったりなサイズでつくることができます。
オーダーメイドのスーツ(スーツ以外にもたくさんありますが、以下「スーツ」と言わせていただきますね)というだけなら珍しくありません。百貨店にいけばオーダーメイドのスーツは普通に売られていますし、街のスーツ屋さんだってあります。なのでLaFabricのポイントは「オンライン」というところ。
LaFabricではもちろん、1着目からオンラインでスーツを作成することができますが、自分で自分の体を計測しなければならないので、ちょっと大変です。なのでオススメは最初は店舗に来ていただいて、プロにサイジングをしていただくことだそうです。店舗は渋谷に常設店があり、東京・神奈川を中心にポップアップストアを展開しています。
一旦測定した採寸情報はクラウドに保存されます。なので、2回目以降はスマホからでもいつでも簡単にスーツを作れるというわけです。
ソーシャルグッドやモノづくりのルーツから服を選ぶ
LaFabricには通常の商品以外にも、いくつかのオリジナルラインナップがあります。それが「THE TECH」「THE SOCIAL」「THE ROOTS」。
① THE TECH
その名の通り、テクノロジー素材を使った商品です。いわゆる機能性素材ですね。例えばアウトラストという素材は、NASAが開発した「暑いときには涼しく、寒いときには暖かくしてくれる体感温度を調整してくれる素材」。これをスーツに使用して、いつでも快適な温度を保ってくれるスーツをつくっているそうです。
② THE SOCIAL
THE SOCIALのテーマは「社会性のあるモノづくり」。環境にいいなどのソーシャルグッドな製品です。例えばボタニカルというシリーズのスーツは、土に埋めてしまえば2ヶ月で土にかえるような素材だそうです。
③ THE ROOTS
モノづくりのルーツをたどるのがTHE ROOTS。生地の産地まで伺って取材をして、作ってる様子や職人を紹介しているそうです。
THE ROOTS「#001 水の都」 from LaFabric on Vimeo.
自分の着ている服がどこでどういう風に作られているのかはなかなか知られていませんし、ましてそこの職人のことは今まで語られてきませんでした。工場は今でもwebサイトをもっていないことも多く、人のつながりを大事にしながら経営されているところが多いそうです。
しかし、それは裏を返せばwebで知ってもらう機会を逸しているともいえます。そんな工場をLaFabric経由で紹介すると、業界関係者から問い合わせが増えたりと、プラスの効果もあるそうで、地方の産業発展にも貢献しているそうです。
データドリブンなアパレルブランドを構築
Direct to Consumer(D2C)という言葉は聞いたことがあるでしょうか?名前の通り、主にECで顧客に直接販売をする形態を指しますが、単なる直販と違うのはデータをうまく使っているかどうか。D2Cスタートアップである、LaFabricはどういった分析をしているのでしょうか。
色々とやっていますが、わかりやすいところでは出店場所の検討にデータを使っています。
例えば、新宿の東口近辺からサイトへアクセスが多いとわかれば、その近辺にポップアップストアをだすことを検討する、といったことだそうだ。
この他にもLaFabricでは今後、様々なデータを収集する可能性があるそう。例えば花粉症であったり、アトピーだったりのヘルスケアのような個人情報。
店舗に買い物に行くと、店員さんにちょっとした相談事をしますよね。それをweb上で実現したいんです。D2Cを進化させて、ユーザ体験を革新させていきます。
例えば、花粉の人がたくさんいるといったことが判明すれば、その人達向けに花粉がつかない服といった商品開発ができるかもしれないし、マーケティングやマーチャンダイズが実施できるかもしれません。D2Cからウォンツやニーズを把握して、生産に活かしていく服作りもこれから展開していくそうです。
洋服から「働くこと」に貢献する
LaFabricの今後としては、前述した花粉などのパーソナルデータから事業領域を模索したり、レディースを取り扱うことも検討しているそう。ライフスタイルデザイン社は「働く楽しさを探求する企業」と自身を定義しており、「働く」に関連する限りは、特にやるやらないといった判断軸はなく、お客さまからのニーズがあるところにどんどん取り組んでいくそうです。
生地メーカーや染色メーカー、工場、職人とダイレクトに繋がっているのが我々の強みです。洋服の面からいかにビジネスに貢献するか、ということを意識しながら顧客体験をこれからも革新していきたいと思います。
最後に森さんからメッセージをいただきました。
LaFabricは2014年の03月から事業展開して、商品の品質が確実に上がってきています。ユーザ体験も何百倍も良くなっています。絶対に楽しんでいただける洋服体験を提供できると思いますので、是非お店やwebサイトに遊びに来て下さい。
The contents of the interview are also distributed by podcast
podcastでインタビュー内容を配信しています。テキストより情報が詰まっています。興味がわいた方は是非こちらも聞いてみて下さい。
納富 隼平(Notomi Jumpei)
合同会社pilot boat CEO
1987年生まれ。2009年明治大学経営学部卒、2011年早稲田大学大学院会計研究科修了。在学中公認会計士試験合格。大手監査法人を経て、トーマツベンチャーサポート株式会社に参画し、ベンチャー支援に従事。毎週開催ピッチイベントMorning Pitchをはじめ、300超のピッチ・ベンチャーイベントをプロデュース。2017年に独立して合同会社pilot boatを設立し、引き続きベンチャー支援に従事する。現在もBtoCベンチャープレゼンイベント「sprout」、ベンチャーHow to紹介イベント「faces」を主催する。得意分野はFashionTechをはじめとするライフスタイル系BtoCサービス。「pilot boatのブログ」「pilot boat cast」を運営。