SportsTechスタートアップの株式会社Aspole(アスポール)が2019年4月19日、株式会社アカツキから1.3億円の資金調達の実施、およびスポーツのD2Cブランド「TENTIAL(テンシャル)」のリリースを発表した。同社はアプリコット・ベンチャーズおよびインキュベイトファンドから2018年8月に資金調達しており、今回のラウンドはそれに続くもの。なお近日中に、AspoleからTENTIALに社名変更を予定しているとのこと。(そのため以下TENTIALと呼称する)
TENTIAL代表の中西氏は、サッカーでインターハイにも出場経験をもつほどの腕前で、プロサッカー選手を目指していたものの、病気で夢が頓挫。今度はビジネスの世界でスポーツと関わることを決心した。
DMMに買収されたインフラトップ、リクルートなどで職歴を重ねていたが、その過程で発見したことは、スポーツの情報は意外なまでに集約されていないし、非常にレガシーな業界だということだ。他方でプロスポーツ選手はスポーツのノウハウを多分にもっているものの、引退後にそのノウハウが活かされているとは言い難い。いわゆるプロスポーツ選手のセカンドキャリア問題だ。
そこでTENTIALはまず、SPOSHIRU(「スポーツ」を「知る」の意)を開設。スポーツ用品の選び方や、プロはどうしているのか、メーカー間の違いなど、スポーツ選手の知見を情報化して発信している。 しかしながら時代の流れで、地域のスポーツ用品店などは減少。昨今は通販などでスポーツ用品を買う消費者も増えている。そんな事情もあってTENTIALはD2Cブランドの運営にも乗り出したとのことだ。
D2CブランドとしてのTENTIALが選んだ最初のアイテムは靴の「インソール」。商品名は「TENTIAL ZERO」で、5月末に一般販売の開始を予定している。
日本だとあまりインソールにこだわるというカルチャーがないが、海外ではそもそも家の中で靴を履くのもあってか、インソールへのこだわりがあることも多いという。
「TENTIAL ZERO」では「立方骨(足の外側に位置するピラミッド型の骨)」に着目して、インソールによる安定性を高めた。これにより「無意識のうちにボディバランスのよい、美しい姿勢を維持することにつながるため、より快適で動きやすい、踏ん張りのきく身体へと導いてくれます」(Makuakeより引用)。
また「TENTIAL ZERO」は、プロスキープレイヤーや、プロサッカー選手のインソールも手がける株式会社BMZと共同開発。プロスポーツ選手よりも強度が低かったり、普段の通勤などで使えるようなアイテムに仕上がっている。実際体のバランスが保てることで、腰痛や方頃が緩和されるといった事例もあるとのこと。
TENTIALを使っていただくことで、ケガが防止されたりパフォーマンスが上がったり、翌日に疲れが残らないという効果があります。しかしD2Cブランドとしてそれ以上に伝えていきたいのは、TENTIALの世界観です。
TENTIALを使っていただきたいのは、より高みを目指していたり、翌日に疲れを残したくない、よりいい状態で運動したいという、カラダに気を使っている方々です。しかし日常に疲れたり消耗してしまったりということは、誰にでもあります。
そんなときにTENTIALが、その名のとおりポテンシャルを引出して、よりチャレンジできて、世界と戦えるというメッセージを発するような、そんなブランドにしていきたいのです。(中西氏)
TENTIALはもちろんインソール以外にも、アイテムを追加していく計画をしている。まだ具体的にアイテムは決まっていないものの、健康に直結するような靴下・スリープウェア、リカバリーウェアなどをイメージしているそうだ。
(アイキャッチ画像:TENTIAL提供、左からアカツキ塩田CEO、TENTIAL中西CEO、アカツキ石倉氏)
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合同会社pilot boat 代表社員CEO
1987年生まれ。明治大学経営学部卒、早稲田大学大学院会計研究科修了。在学中公認会計士試験合格。大手監査法人で会計監査に携わった後、ベンチャー支援会社に参画し、300超のピッチ・イベントをプロデュース。 2017年に独立して合同会社pilot boatを設立し、引き続きベンチャー支援に従事。長文でスタートアップを紹介する自社メディア「pilot boat」、toCベンチャープレゼンイベント「sprout」、その他スタートアップイベントを運営。得意分野はファッション・ビューティ×テクノロジーをはじめとするライフスタイル・カルチャー系toCサービス。各種メディアでスタートアップやイノベーション関連のライター、大手企業向けオープンイノベーション・コンサルティングも務める。
Twitter: @jumpei_notomi