2019年3月14日、HRスタートアップである株式会社ライボは、パーソルキャリア株式会社の完全子会社になったことを発表した(ライボ社プレスリリース)。
ライボが運営する「JobQ(ジョブキュー)」は、キャリアや就職・転職に特化した匿名相談サービスだ。ユーザ間でキャリアの相談ができるオンラインの掲示板のようなものを思い浮かべていただくといいだろう。
終身雇用があった時代は転職という行為自体が珍しかったかもしれないが、現代においては当たり前。スタートアップ界隈では3年目でベテランなんていうことも珍しくない。
転職しようとする人は当然、興味・関心のある業界や会社について調べる。会社のコーポレートサイトや、メディアでの社長インタビューなどを検索するだろう。もちろんそれらも有益な情報には違いないが、一方で「発言内容がお化粧されているのでは」という疑念も湧いてくる。そんなときに使うのがJobQだ。
JobQに質問を投稿すれば、社員が直接会社の説明や、働きかたについての「現場感のある情報」を提供してくれ、転職などの参考にできる。
JobQについてはpilot boatでも過去に取り上げている。詳細は以下を参照してほしい。
そんなJobQを運営するライボが、このたびパーソルグループに参画することを発表。その意図をライボ代表取締役の小谷(オダニ)氏に伺った。
JobQはユーザ間でキャリアに関わる相談をする場です。そのためユーザとしては相談した後に実際に転職活動を始めるわけですが、われわれは直接的に求人サービスを展開しているわけではありませんでした。他方のパーソルキャリアはdodaなどの求人サービスを中心として、様々な人材サービスを展開している会社。そこと手を組むことで、ユーザに一気通貫した価値を提供しようというのが今回の狙いです。(小谷氏、以下同様)
ライボは2016年から、各求人媒体との連携をスタート。JobQ上で質問したユーザが、すぐに求人にアクセスできるように導線をしいていた。そのうちの1社がパーソルキャリアで、この連携が本件のディールにつながったという。
子会社化の後も小谷氏は引き続きライボ社の代表取締役に留まり、JobQのグロースと、パーソルキャリアとの連携を推進するとのことだ。
現在両社が一緒に目指す方向のすり合わせができた段階です。具体的な連携内容や方法についてはこれから徐々に推進していきます。パーソルキャリア社がもつ顧客基盤や転職にまつわるビッグデータなどのリソースをフル活用して、「働く」ことの課題を解決していきたいですね。
冒頭にも紹介したとおり、日本においても人生で複数回転職することは珍しくなくなってきている。それはつまり潜在的な転職活動期間が長くなっていることを意味し、同時にその期間を支援する価値も上がっているということだ。
実際に近年、リクルートがGlassdoorを買収、リンクアンドモチベーションがVorkersを関連会社化するなど、人材大手による企業クチコミレビューサービスを運営する会社のM&Aの事例が生じている(なおエン・ジャパンは自社で口コミサイトを保有している)。パーソルグループも今回のライボ買収でライバルを追いかける可能性は十分にあるだろう。
両社の具体的な連携はこれからとのことだが、このディールが日本の転職業界の活性化につながることを期待したい。
(アイキャッチ写真:ライボ提供)
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合同会社pilot boat 代表社員CEO
1987年生まれ。明治大学経営学部卒、早稲田大学大学院会計研究科修了。在学中公認会計士試験合格。大手監査法人で会計監査に携わった後、ベンチャー支援会社に参画し、300超のピッチ・イベントをプロデュース。 2017年に独立して合同会社pilot boatを設立し、引き続きベンチャー支援に従事。長文でスタートアップを紹介する自社メディア「pilot boat」、toCベンチャープレゼンイベント「sprout」、その他スタートアップイベントを運営。得意分野はファッション・ビューティ×テクノロジーをはじめとするライフスタイル・カルチャー系toCサービス。各種メディアでスタートアップやイノベーション関連のライター、大手企業向けオープンイノベーション・コンサルティングも務める。 Twitter: @jumpei_notomi