モノづくりマーケット「monomy」で、オリジナルのアクセサリーを製販

monomyは自分だけのオリジナルのアクセサリーを作れるスマホアプリだ。パーツを順に選んでいくだけで、自分だけのアクセサリーを作って販売することができる。撮影や配送といった面倒な作業は全部monomyがやってくれるため、ユーザはデザインすることに集中できる。中には何千とアクセサリーを作るユーザもいるそうだ。

monomyを作った理由から、日本のモノづくりに対する思いまでまでを聞いた。

 


株式会社FUN UP 代表取締役 山口 絵里(Yamaguchi Eri)

東京文化服飾専門からアメリカ留学、21歳で単身世界一周旅を経験、今未だ無いものを世に生み出したいと経営者を志す。帰国後、バイヤーや泥臭い製造の商品開発を経験。コマース事業の立ち上げを経験し、興味から制作技術を1から学びIT業界の世界へ転身。様々なプロジェクトにWEBデザイナーからWEBサービス企画などを経験。その後Yahoo!JapanにてWEBディレクターを経て2011年9月株式会社FUN UPを設立。主に企業や広告代理店にてWEBサービス企画を外部プロデューサーとして経験を積み、リアルイベント事業なども展開。そして現在monomyを開発・運営中。

 

アプリでデザインするだけで、オリジナルブランドのアクセサリーが完成

株式会社FUN UPが手がけるサービスは「monomy(モノミー)」。誰でも簡単にアクセサリーを作って販売できるCGM型プラットフォームだ。ピアス・イヤリング・イヤーカフ・ネックレス・ブレスレットなどのオリジナルアクセサリーをデザインして製作・販売できる。

monomyで作られるアクセサリー(credit by FUN UP inc.)

 

使い方は簡単。デザインとは言ってもスケッチから始めるわけではなく、monomyのアプリ上に用意さているアイテムを組み合わせるだけでアクセサリーが完成する。

まずは「ピアス」や「ブレスレット」など、どのアクセサリーを作るのか選択し、ベースを選ぶ(ピアスを選んだとしよう)。続いてピアスにつけるパーツを3000種類のパーツの中から選択し、組み合わせ方を考える。組み合わせのシミュレーション画面にはゆらゆらしたり重力にしたがうようなアニメーションが施されており、ユーザは楽しみながら組み合わせることができる仕組みになっている。このアニメーションにハマってしまうユーザも多いそう。

アクセサリーが完成したら試着(実際に着用するわけではなくアプリ上で出来上がりを確認すること)して、最後に投稿すれば、オリジナルブランドの出来上がりだ。

 

パーツの合計金額から自動で価格が決まり、販売もできるし自分で購入することもできる。製作はmonomyがやってくれるし、写真撮影も物流も不要。ユーザは本当にアプリ上でアクセサリーをデザインするだけなのだ。

 

ハマる人続出。アクセサリーを6000種類作るユーザも。

monomyのユーザは20代後半の女性がボリュームゾーンではあるものの、30〜50代の女性も多いそう。そしてなんと中には6000個近いアイテムをデザインするユーザもいるのだとか。決して異常値ではなく、1000個作っているユーザも珍しくない。なぜこんなにもmonomyに「ハマる」ユーザがいるのだろうか。

女性はそもそも何かを組み合わせて作るのが好きというのもありますが、一言でいうと「承認欲求」なのだと思います。投稿していただければわかるのですが、monomyでアイテムを投稿するとすぐにlikeがついたり、すごくみんなが褒めてくれるんです。オリジナルの作品をデザインして、知らない誰かに買ってもらう体験はなかなかできるものではありません。これで病みつきになる方が多いのだと思います。(山口氏)

 

monomyのアプリを開くと、色々なタブが用意されている。たとえば「PICK UP」ではlike数などを元にアルゴリズムで推薦されたアイテム40~80種類が掲載。ここに掲載されればさらにlikeが付き、閲覧数や販売数に弾みがつく。

 

「GOOD BUY」は期日内に一定人数が集まれば、対象商品が割引になるサービス。いわばmonomy内のクラウドファンディング。ボリュームディスカウントの要領でアイテムが安くなるのだ。

「CONTEST」ではたとえば「ニットに合わせるネックレス」などのお題が提示され、ユーザが投稿していくコンテスト機能。お題はコーディネート提案もあれば、ハロウィンやクリスマスといったシーズンイベントのコンテストもある。コンテストに入賞するとmonomy内で使えるポイントがもらえたり、プロのカメラマンが自分がデザインしたアクセサリーを撮影してくれたりとあって、ユーザも熱が入る。2017年12月現在ではまだ開催していないが、今後は雑誌やキャラクターとのコラボレーションも企画しているそうだ。

このコンテストは実は日本橋の三越、つまりリアルの場でも開催実績がある。アプリのコンテストで作品を募集し、実際に三越のバイヤーが選んだ10作品が店頭で販売されたのだ。三越で販売できるのはデザイナーにとっては名誉あることということで、ユーザからも好評だった。ちなみにこの時のテーマは「母の日のプレゼント」だったそう。

credit by FUNUP

 

モノづくりを可視化して効率化する

このように誰もがデザイナーとなり、アクセサリーを製作できるプラットフォームであるmonomy。その原点は「モノづくりの可視化と効率化」だ。

従来のモノづくりは企画から始まり、デザイン・製造・マーケティング…と、その工程は多岐に渡る。しかしデジタル化やそれに伴う製造への消費者参加に伴って、従来の工程の一部が不要になるケースも出てきている。前掲のようにmonomyは、CGMで消費者参加型のビジネスを展開しており、不要な工程を削減して純粋な「モノの価値」で消費者にアイテムを届けようとしているのだ。

私はファッションの専門学校や販売員を経て、21歳のときに世界を一周しました。そのときのテーマは値段です。「なんでこれはこの値段なのか」ということを知りたかったんですね。たとえばブランド品は高額なものですが、そうするとブランドとは何なんだろう、ということが気になったんです。

そして世界を見て回って驚いたことは「素材ってめちゃくちゃ安い!」ということです。最終製品が高くなっているのは、途中に輸送や加工、マーケティングがあるからだとわかったんですね。もちろんそれがすべて悪いわけではありません。しかしモノづくりの工程を可視化して不要な工程を削減できれば、消費者がよりよい製品を適正な価格で入手できると考えたのです。

(credit by FUN UP inc.)

 

とは言っても、すぐに実行できるアイディアがあったわけではなかった。ある日友達に教えてもらいながらアクセサリーを作っていたら、これなんじゃないかと閃いたらしい。

ちょうどスマホが一人一台になろうとする時期でした。ユーザにはスマホでデザインだけしてもらい、製造したり配送したりという面倒事はmonomyが請け負う。そうすれば工場から一気に消費者にアイテムを届けることができます。つまりこれならものづくりの本質的な価値をユーザに直接届けられると思ったんです。

 

日本のモノづくりの品質とストーリーはもっと評価されうる

こうしてCGM型のモノづくりプラットフォームを指向したmonomy。まずは作りやすいアクセサリーから手をつけた。ユーザはアクセサリーを作り、販売できる楽しみを実感している。作る価値はもちろん、最近はパーツそのものの価値も認知が上がっているそうだ。

今は自社の工房でアイテムを製造しているが、今後は川上の職人や工場に直接つくってもらい、そのままユーザへ届けるということも計画しているらしい。

そして将来的には作るアイテム種類を拡大していく。現在はアクセサリーに限っているが、monomyの仕組みは横展開して、ジュエリー・カバン・メガネ・小物や家具などにも適用することが可能だ。メガネを自分でデザインして、メガネで世界的に有名な鯖江の職人にオリジナルのメガネを作ってもらえる日が来るかもしれない。

職人さんという意味では、ものづくりの裏側にあるストーリーも伝えていきたいです。「こんな人がこんな思いで作っているんだ」ということがわかると、アイテムにより愛着が湧きますよね。

日本のモノづくりの衰退が叫ばれて久しいですが、日本のモノづくりの品質やストーリーはまだまだ価値があって、評価されるべきです。この価値を国内だけでなく、世界にも届けていきたいと思います。

 

 

 

インタビュー内容はpodcastでも配信しています

podcastでもインタビューを配信しています。興味がわいた方は是非こちらも聞いてみて下さい。

AUTHOR
納富 隼平(Notomi Jumpei)
合同会社pilot boat CEO
1987年生まれ。2009年明治大学経営学部卒、2011年早稲田大学大学院会計研究科修了。在学中公認会計士試験合格。大手監査法人を経て、トーマツベンチャーサポート株式会社に参画し、ベンチャー支援に従事。毎週開催ピッチイベントMorning Pitchをはじめ、300超のピッチ・ベンチャーイベントをプロデュース。2017年に独立して合同会社pilot boatを設立し、引き続きベンチャー支援に従事する。現在もBtoCベンチャープレゼンイベント「sprout」、ベンチャーHow to紹介イベント「faces」を主催する。得意分野はFashionTechをはじめとするライフスタイル系BtoCサービス。「pilot boat」「pilot boat cast」を運営。

 

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