労務の時間を圧倒的に削減する、クラウド労務管理サービスGozal

クラウドの労務管理サービス「Gozal」を運営するBEC。労務担当者がいない中小企業を中心に、多くの企業に導入されています。非効率な労務業務を効率化することはもちろん、働き方の多様化にも貢献するサービスとなっています。

 

クラウド労務管理サービスGozal

労務管理という言葉を聞いて思い浮かべるのはどのような業務でしょうか。身近なところでは有給休暇の申請や、労働時間の管理、給料のことなどで、労務担当の方にお世話になっている人が多そうです。でも、労務の範囲はその他にもたくさん。役所に行ったり書類を作ったりとやることも多いし、とても大変な業務です。

また、何千人といる大企業ならまだしも、そうでない会社にとっては労務専業の担当者なんていないのが当たり前です。担当者が片手間でタスクをこなしていくからノウハウは溜まらないし、そもそも何をやっていいかわからない!なんて状況になってしまっていることも多そう。

 

今回紹介するのは株式会社BEC(ベック)が運営する、クラウド労務管理サービスGOZAL(ゴザル)。労務管理を誰でも簡単に素早く行えるためのサービスです。代表の高谷さんにお話を伺いました。

 


株式会社BEC CEO / Co-Founder 高谷 元悠 (Takatani Motohiro)

2011年、20歳の時に公認会計士試験論文式に合格。その後、大手監査法人に勤務。IPO支援、内部統制構築支援、M&A、上場企業の監査を担当。サイバーエージェント主催のアントレプレナーイノベーションキャンプにて、チーム優勝。2014年1月に株式会社BECを設立。

 

労務担当者がいなくても大丈夫な世界に

Gozalのユーザには3000人が所属する大きな会社もいるそうですが、従業員100名前後で労務担当者がいないような会社がメインターゲット。そのような会社では労務管理が非常に大変だそうです。

雇用契約書や年末調整は紙で作成して提出。非効率だし管理も大変です。給与計算は社労士さんにお願いしていて、社内に資料が完璧にあるわけでもない。各種データは同期したほうがいいけど、こんな調子ではそれも難しい。だから同じ情報を何回も入力するハメになる。

こんな企業の悩みを解決するために作られたのがGozalというわけです。

労務は分かる人がそもそも社内にいないし、そもそも会社全体としては非付加価値ですし、わかる必要もありません。Gozalを使ってくれさえすれば、労務管理が一気に片付く、という世界を目指しています。(高谷さん、以下同)

 

バラバラだった労務管理を、Gozalに統合

Gozalはクラウドの労務管理サービス。労務管理をワンストップで効率的にこなせる仕組みを提供していて、例えば従業員の勤怠管理、給与計算、休暇申請が可能ですし、オンラインで給与明細を発行することもできます。今まで十数の紙やエクセルでつくっていた書類を、Gozalというひとつのシステムでこなすことが可能なのです。

従来の労務管理は紙で行ったりデータが統合されていなかったので、多大な非効率を生じさせ、勤怠時間の集計だけで何十時間もかかるということも珍しくないそうです。しかしGozalを使えば、そんな非効率も解消。月次の勤怠集計が2時間で終わるようなケースもあるそうです。(そもそも労務担当者がいないので、削減の影響が大きいそうです)

 

煩わしい労務管理から解放された担当者は、人事制度や組織全体のことなどよりクリエイティブな作業に集中できます。

 

UI/UXにこだわって見えないコストを削減

高谷さん曰く、企業によっては20年ほど前の労務管理ソフトをアップデートしながら使っているということも珍しくないそう。システム自体が古いので非常に使いづらいそうです。また、労務管理サービスだからといって、労務担当者だけに影響があるわけではありません。

有給休暇の申請を例にとってみましょう。筆者も経験があるのですが、そもそも有給休暇の申請をどこからすればいいのかわからなし、検索しても出てこない。見つけたと思ったらよくわからないエラーは出て来るし、結局休暇が取れたのかどうかもよくわからない。なので、その都度労務担当者に確認する。労務の方もそれに答えていくわけですが、従業員全員から問い合わせが来たら大変ですし、問い合わせている時間は従業員にとっても労務担当にとっても無駄な時間であることは間違いありません。

そんな「見えないコスト」を解消するために、GozalではUI/UXにとことんこだわって、生産性を上げることに注力しているそうです。

昔ながらの労務管理ソフトだと、労務担当者の視点はあっても、もう一方のユーザである従業員の視点がないことが多いのです。UI/UXを全体的に綺麗にすることで、問い合わせがそもそもなくなるようにしています。Gozalは労務管理のツールではありますが、企業をよりよくするためのツールでありたいと思っています。

 

タスクをこなしていけば労務手続きが完了

さて、Gozalを使えば、誰でも簡単に労務手続きができます。例えば新しく従業員が入社するので雇用手続きを行うとしましょう。この場合には従業員が入社するときのタスク管理シナリオが出現し、その1、その2とカード型のタスクをどんどんこなしていけば雇用手続きを完了させることができる、という仕組みになっています。

年末調整のように特定の時期に対処しなければならない業務は、その時期になればアラートが出現。Gozalに従っていれば「知識がなくてもコンプライアンスを守れるように」なっているというわけです。

当然、Gozalといえどもまだまだ完璧というわけではありません。システムで対応できないところは、人的なサポートも組み合わせて対応してくれているそうです。

 

効率化だけでなく、新しい働き方にも対応

効率化の話をしてきましたが、Gozalは働き方の多様化にも貢献しています。

例えば在宅勤務。労務管理の面からみると、出社勤務した日と在宅勤務した日を分ける必要がありますし、在宅勤務だけを集計したり、フレックスタイムの出社時間を測定したりするには、既存のシステムに加えてカスタマイズした集計処理が必要かもしれません。

Gozalはお客様のニーズがあると判断すれば、すぐに機能を開発してローンチ。今ではどの会社でも在宅勤務の集計などが可能になっている、とのことです。

労務管理の世界は圧倒的に効率がわるいので、生産性を上げるところについ目がいってしまいますが、新しい付加価値を生むこともどんどん取り組んでいます。働き方の例のように、Gozalではお客様からのフィードバックを頂き、どんどん機能を追加していっています。

 

ビジコンがきっかけでGozalを開発

労務管理を圧倒的に効率化しようとしているGozal。その開発のきっかけはサイバーエージェント社が主催したビジコンだったそう。

 

もともとBECのCEOである高谷さんは、経営を学ぶために監査法人に勤務。いつか起業したいとは思っていたそうですが、その時点で特に起業のアイディアがあったわけではなかったそう。高谷さんは当時起業家志望が集まるシェアハウスに住んでおり、ビジコンに向けてアイディアを考えていた時、周りの起業家(志望)の方を観察しました。

10人程度の起業志望者と共同生活をしていました。彼らは当然、サービス作りに情熱は注いでいるのですが、バックオフィスに詳しいわけではありません。かといって、片っ端から専門家に頼んでいたらそれだけで数百万円はかかってしまいます。それだったら、と思いついたのがGozalの原型となる、士業のクラウドソーシングでした。

 

このアイディアを引っさげビジコンに参加した高谷さんは、見事優勝。参加する時点で会社を辞めて起業する予定はなかったそうなのですが、祝勝会で「本当にやるなら出資するよ」と言われ、次の日には退職届けを出し、3ヶ月後に起業したそうです。

正直に言うとビジコンは力試しのつもりで応募したのですが、結果として優勝して起業を勧めていただきました。起業は若いほうがいいとは思っていたので、来たボールをフルスイングしようと思い、実際に起業しました。

 

理想はひとりにつきひとつの就業規則があること

ビジコンから始まったBEC。2017年10月現在、フルコミットメンバーは10人ほどとのことですが、メンバーはどのように集めているのでしょうか。

メンバーになる方の人生にも影響しますし、メンバー選びは非常に慎重で、本当にカルチャーフィットする方だけに入社いただいています。BECは平均年齢が若いこともあって、仕事だけでなくプライベートもよく一緒に過ごすんです。採用の段階でそこに誘い、カルチャーフィットしそうだな、と思えば採用する、といったイメージです。

 

結果的に、BECには自由な人が集まっているそう。全員が9時に集まるのはおかしい、こういう働き方をしたい、自分の人生こうなればいいのに、という思いを持ったメンバーが集まっているがゆえに「一人につき一つ就業規則があるのが理想」だそうです。労務を扱っている会社っぽいですね。

 

オフィスパーティでユーザの生の声を

現在BECのメンバーにはエンジニアが多いそう。「労務管理の経験がある方がその苦労を知っていてBECにジョインする」というストーリーはありそうですが、エンジニアで労務管理を担当していた方はほぼいないはず。エンジニアの方々はどのようにBECに関心をもつのでしょうか。

エンジニアに限らず労務管理経験のある方は多くありません。しかし、知人が働きすぎて鬱になってしまった、画一的な働き方に疑問を感じている方など、働き方という観点でみると、BECの理念と重なる部分があります。

BECは普段から、「一人一人働き方が違うのは当たり前」「生産性を上げるのが重要」という情報発信をしています。働き方について調べていてBECに行き着き、興味をもっていただくことが多いですね。

 

BECでは月1のペースで、お客様をお招きしたお好み焼きパーティをオフィスで開催しているそう。特にエンジニアの方は、ユーザと直接お話する機会が少ないので、実際にユーザから「この機能が嬉しかった」「こんな機能を開発してほしい」「あそこが使いにくい」「Gozalのおかげであれがこうなった」といった生の声を聞くと、プロダクトへのコミットメントが高まってやる気がでてくるそうです。ユーザからフィードバックをもらうことも重要ですが、エンジニアの生産効率を上げるための一手段にもなっています。

お好み焼きパーティの様子。(credit by BEC)

 

法定データをインプットデータにして、QOLをあげる

既存の労務管理業務の効率化はもちろん、新しい付加価値も作っていこうと目論んでいるBEC。将来の展望はどのように考えているのでしょうか。

短期的にはもちろん、現在のサービスの利便性をどんどんあげています。長期的にはアルゴリズムを組み合わせて、人間関係、休日の使い方や健康情報など、toC分野でQOLを挙げていくような取り組みもしていきたいです。

 

AI全盛期の昨今、多くの企業がユーザに新たな価値を提供しようと気を吐いています。そのためには当然インプットデータが必要ですし、データをいかに収集するかもポイントとなってきます。

他方、労務管理は法定で決められた手続き。そのためすべての会社で所得や年金額、出身地、住所、家族構成、介護状況など、生活に関連する実に多くのデータを企業は持っているのです。これらのデータを最大限活用することができれば、同僚が誕生日だからプレゼントをあげようという簡単なことから、複雑なアルゴリズムを使うようなものまで、様々な価値を提供できる可能性があります。

この取組みは壮大です。BECだけで成し遂げられるとも思っていません。色々なプレイヤーと協力しながら、ユーザに新たな価値を提供していきたいと考えています。そのためにもまずは、Gozalを普及させていきたいと思います。

 

 

インタビュー内容はpodcastでも配信しています

podcastでインタビュー内容を配信しています。テキストより情報が詰まっていますので、興味がわいた方は是非こちらも聞いてみて下さい。

AUTHOR
納富 隼平(Notomi Jumpei)
合同会社pilot boat CEO
1987年生まれ。2009年明治大学経営学部卒、2011年早稲田大学大学院会計研究科修了。在学中公認会計士試験合格。大手監査法人を経て、トーマツベンチャーサポート株式会社に参画し、ベンチャー支援に従事。毎週開催ピッチイベントMorning Pitchをはじめ、300超のピッチ・ベンチャーイベントをプロデュース。2017年に独立して合同会社pilot boatを設立し、引き続きベンチャー支援に従事する。現在もBtoCベンチャープレゼンイベント「sprout」、ベンチャーHow to紹介イベント「faces」を主催する。得意分野はFashionTechをはじめとするライフスタイル系BtoCサービス。「pilot boatのブログ」「pilot boat cast」を運営。

 

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