2024年10月7日、株式会社NTTドコモ・ベンチャーズはドコモベンチャーズピッチを開催した。同イベントは同社が不定期に開催しているイベントで、今回のテーマは「生成AI」。特にマーケティングや営業に関連する生成AI関連スタートアップ6社が登壇している。本稿では編集部注目の3社を紹介しよう。
企業専属のファッションモデルやタレントを生成する「AIモデル」
生成AIを使い、「AIモデル」として各企業専属のファッションモデルやタレントを生成するのはAI model株式会社だ。
AI model社代表の谷口氏は、2006年に創業した株式会社インターグルーブで、ファッション関連企業のECサイト構築やクリエイティブ制作の支援に携わってきた。その中で、モデル選定の大変さと、同時にそれがファッションアイテムの売上に大きく影響を受けることを実感したという。この経験が、同氏をAIなどのテクノロジーを用いた「AIモデル」の制作に駆り立てた。
AIモデルは現在、既に伊勢丹のキービジュアルやライトオン、東京ガールズコレクション、しまむらなどで利用されている。他にも不動産会社に利用されていたり、伊藤園などのテレビCM(動画)にも採用されており、利用企業の裾野が広がっている。
なお、pilot boatはNTTドコモ・ベンチャーズからの委託を受け、以下の記事を制作している。こちらも是非ご覧いただきたい。
「HeyGen」を活用した生成動画AI翻訳「こんにちハロー」
株式会社こんにちハローが提供する「こんにちハロー」は、動画生成AIと人によるサポートを組み合わせた多言語翻訳サービスだ。
例えばA氏が日本語で話した動画をこんにちハローで翻訳すると、A氏の声はそのまま、動画を英語や中国語、韓国語といった多言語に翻訳できる。リップシンクも実施しており、唇の動きも翻訳言語に合わせて生成される仕組みだ。百聞は一見に如かずということで、以下の動画をご覧いただきたい(日本語の元動画の後に英語と中国語の動画が用意されている)。
こんにちハロー社は、動画生成AIで知られる米「HeyGen」と提携し、翻訳動画作成の一次処理に同社のシステムを利用している。とはいえ、これだけでは完璧な動画とはならないため、こんにちハロー社が手を加えることで完成度の高い動画に仕上げる、というわけだ。動画作成の料金は30秒で11,000円から。現在は飲食店や商業施設、宿泊施設、クリニック、会社紹介、映画などで利用されている。
架電特化のChatGPT電話「nocall.ai」
人間のような会話応答が可能な、生成AIによる電話オペレーターシステム「nocall.ai」を開発するのは株式会社Passionate Genius。数々のAI音声やAI電話サービスがある中で「架電」に特化している点が特徴だ。
nocall.aiは、例えば車検をするある会社で利用されている。この会社では、半年ごとに点検の案内や、2年ごとに車検案内のために顧客に電話していた。しかし電話が繋がるまでには平均で3.5回かかり、かかったとしても「仕事中だから」と本題に入れないケースも珍しくなかったそう。しかしnocall.aiを利用し、「何時に誰に電話をかける」といったことを登録しておくことで、自動で電話をかけてくれ、人が(一次対応の)電話をする必要はなくなるというわけだ。
ChatGPTを用いた通常の音声回答は起動に3秒、回答に5秒ほどの時間が必要だが、会話でそのタイムラグは不自然。しかしnocall.aiは、起動に0秒、回答には1秒しかかからないため、違和感やストレスなく会話できるようになっている。
ちなみに、年齢の高い顧客がnocall.aiから電話を受けた場合、相手がAIだと気付かないために電話がスラスラ進む一方で、若い顧客はAIだと気づいて戸惑ってしまい、上手く会話ができないなんてケースも発生しているそう。そういった場合には起動時に「AIが応答するので自由にお答えください」といったアナウンスをすることで、相手がAIでも会話ができるように工夫をこらしているそうだ。
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さて、ここまで3社を紹介したが、今回のドコモベンチャーズピッチでは以下の会社も登壇している。
- テックタッチ株式会社:顧客や従業員の「声」を整理・可視化する「Voice Touch」(同社の新サービス)
- 株式会社アウトラウド:BtoBエンタープライズ営業向けAI+BPaaS「Pocta」
- 株式会社リチカ:生成AIを活用したクリエイティブ制作支援「リチカクラウド」
ドコモベンチャーズピッチは今後も開催予定だ。興味のある方はNTTドコモ・ベンチャーズをフォローしておいてほしい。
※アイキャッチ画像の出典はNTTドコモ・ベンチャーズ。